「またやってしまった…」今日も些細な失敗に落ち込み、夜中まで作業を繰り返している自分に気づいていませんか?完璧を求めるあまり、本来の目標から遠ざかってしまったり、心身ともに疲れ果ててしまったりしていませんか?
完璧主義とは、物事を完璧にやり遂げたいという強い願望や、失敗を避けたいという気持ちを抱く性格特性のことを指します。このような姿勢は、成果を上げるうえでプラスに働くこともありますが、一方でストレスを抱え込みやすく、心の健康に悪影響を与えることもあります。実は、完璧主義は単なる性格の問題ではなく、具体的な方法で改善できるものです。
この記事では、完璧主義の特徴を理解し、日常生活で実践できる治し方を5つのステップでお伝えします。
そもそも完璧主義とは何か?その特徴を理解する
完璧主義の基本的な定義
完璧主義とは、必要以上に高い目標を設定し、万事が整った状態を目指し努力する特徴や性格を指します。自分自身に厳しく、また他人の評価を気にする傾向にあり、定められた時間内で完璧を目指そうとします。
完璧主義者によく見られる行動パターン
目標・理想が高い。「とりあえずササっとやってみる」ができない。完璧さを追求し、いつも自分を追い詰めている。まわりの「頑張らない人」が許せない。「失敗」というものを恐れすぎている。他人からの評価がやたらに気になるといった特徴があります。
これらの特徴に心当たりがある方は、完璧主義の傾向があるかもしれません。しかし、これは決して悪いことではありません。適切に向き合うことで、より生きやすい状態に変えていけるのです。
完璧主義の4つのタイプ
「完璧主義」には以下の4種類があることがわかりました。心理学研究によると、完璧主義は一概にネガティブなものではありません。
①前向き目標タイプ 高い目標を設定し、アグレッシブに行動する傾向があり、メンタルヘルスは比較的良好
②最後までやりとげタイプ 粘り強く完遂する特徴があり、メンタルヘルスは比較的良好
③失敗過敏タイプ 失敗を極度に恐れる傾向があり、メンタルヘルスへの悪影響が懸念される
④高目標タイプ 現実的でない高すぎる目標を設定し、達成困難でストレスを抱えやすい
特に③と④のタイプの方は、以下でご紹介する改善方法を積極的に取り入れることをおすすめします。
完璧主義がもたらすデメリットとその影響
メンタルヘルスへの悪影響
完璧主義は適度であれば成果につながりますが、過度になると心の健康に深刻な影響を与えます。ミスや失敗を許すことができず、頑張り過ぎてしまうので精神的なストレスをため込みがちです。
継続的なストレスは、不安感や抑うつ状態、さらには燃え尽き症候群につながる可能性があります。また、常に緊張状態にあることで、集中力の低下や睡眠の質の悪化も起こりやすくなります。
行動の停滞と生産性の低下
失敗や叱責を恐れるあまり,行動そのものが消極的になったり、新しいことにチャレンジする意欲が失われることもあり、それが生活全般の活力の低下につながるということもあり得ます。
結果として、完璧を求めるあまり何も始められない、または途中で挫折してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
完璧主義を治す5つの実践的な方法
方法1:「80点主義」の考え方を取り入れる
完璧を目指す代わりに、「80点で十分」という考え方を身につけましょう。多くの場面で、80点の成果でも十分に価値があり、残りの20点を追求するコストと時間を考えると、非効率的な場合が多いのです。
実践のコツ
- 作業を始める前に「今回は80点を目指す」と宣言する
- 完成度80%の段階で一度立ち止まり、追加作業の必要性を客観的に判断する
- 80点の成果でも十分な価値があることを意識的に認める
方法2:客観的な視点を持つ練習をする
自分以外の第三者の視点で物事を見てみる練習をしてみてください。完璧主義者は主観的な判断に偏りがちです。第三者の視点を取り入れることで、より現実的で健全な判断ができるようになります。
具体的な練習方法
- 友人や同僚の立場に立って、自分の行動や成果を評価してみる
- 「もし親友が同じ状況にいたら、どんなアドバイスをするか」を考える
- 日記に客観的な視点からの気づきを記録する
方法3:現実的な目標設定を心がける
客観的なゴール達成の基準を知る・つくるという方法があります。高すぎる理想を追い求めるのではなく、段階的で達成可能な目標を設定することが重要です。
目標設定のSTEPプロセス
- Specific(具体的):曖昧でない明確な目標
- Timely(期限付き):適切な締切の設定
- Enjoyable(楽しめる):モチベーションを維持できる内容
- Practical(実践的):現実的で無理のない範囲
方法4:「失敗は学習の機会」という認識を持つ
完璧主義者が最も恐れるのは失敗です。しかし、失敗を恐れるあまり行動できなくなるよりも、失敗から学ぶ姿勢を身につけることが大切です。
失敗との向き合い方
- 失敗を「成長のための貴重なデータ」として捉える
- 失敗から得られた学びを具体的に言語化する
- 小さな失敗を積み重ねることで、大きな失敗を回避できることを理解する
方法5:セルフコンパッション(自分への思いやり)を実践する
自分に対して厳しすぎる態度を改め、親友に接するように自分自身に接することを学びましょう。これは心理学で「セルフコンパッション」と呼ばれる概念です。
セルフコンパッションの3つの要素
- 自分への優しさ:失敗したときも自分を責めすぎない
- 共通の人間性:失敗は人間として当然の経験だと理解する
- マインドフルネス:現在の状況を冷静に観察する
完璧主義改善のための日常的な習慣
朝の意識設定
一日の始まりに「今日は完璧でなくても大丈夫」という意識を持ちましょう。完璧主義の改善は一日の積み重ねです。
朝のルーティン例
- 深呼吸を3回行い、心を落ち着ける
- 「今日は80点を目指す」と声に出して言う
- その日の重要度順にタスクを3つだけ選ぶ
夜の振り返り習慣
一日の終わりに、完璧でなかった部分も含めて自分を労う時間を作りましょう。
夜の振り返りポイント
- 今日できたことを3つ挙げる(小さなことでも良い)
- 完璧でなかった部分から学んだことを1つ見つける
- 明日への建設的な改善点を1つだけ決める
周囲のサポートを活用する方法
信頼できる人への相談
完璧主義の改善は一人だけで行う必要はありません。信頼できる家族や友人に現状を話し、サポートをお願いしましょう。
専門家への相談も選択肢に
深刻な症状がある場合:自殺念慮が強い、まったく動けないほどの体調不良などの場合は、セルフケアだけでの対処は危険です。すぐに専門医療機関へ相談しましょう。
完璧主義による症状が深刻な場合は、心理カウンセラーや精神科医などの専門家に相談することも大切な選択肢です。認知行動療法などの専門的な治療法も効果的です。
まとめ:完璧主義との健全な付き合い方
完璧主義は完全に排除すべきものではありません。完璧主義は単なる心のバージョンの一つであり、それが悪いわけではありません。大切なのは、完璧主義と健全に付き合い、自分らしい生活を送ることです。
今回ご紹介した5つの方法を一度にすべて実践する必要はありません。まずは自分に合いそうなものを1つ選び、2週間続けてみてください。小さな変化の積み重ねが、やがて大きな心の変化につながります。
完璧でない自分も受け入れながら、充実した毎日を過ごしていきましょう。あなたの人生は、完璧でなくても十分に価値があるのです。
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